首都圏唯一の商業炉・日本原子力発電(原電)の東海第二原発がある茨城県東海村で2日、村長選が告示された。
東日本大震災の津波被害を受けて運転を停止している東海第二原発をめぐって、現職が「再稼働は必要」と主張しているのに対し、新顔2人は「再稼働への暴走をストップさせる」「住民投票を実施したい」などと訴え、選挙戦では再稼働の是非が争点の一つになりそうだ。
3人が立候補、それぞれの主張は
立候補したのは、新顔で元法律事務所事務局長の大名章文氏(69)と4選をめざす現職の山田修氏(64)、新顔で介護福祉士の根本華奈氏(34)=いずれも無所属。
山田氏は、東京電力福島第一原発事故後に「脱原発」を掲げた村上達也前村長(82)の後継として、2013年の村長選で初当選した。再稼働についてはこれまで「中立」としてきたが、今年6月の村議会で村長選への立候補を表明した際に「再稼働は必要」と明言した。
その際、村の広域避難計画が23年に策定された▽政府のエネルギー基本計画で「原発回帰」が鮮明になった▽今年村政70周年を迎え「原子力発祥の地」として一定の役割を担う責務を感じた、などと説明。
今回の村長選について「再稼働のワンイシューの選挙ではない」としつつも、「結果は大きな意味を持つので、今後の判断材料の一つにしたい」と話す。
この日の出陣式では「原子力発祥の地としてのプライドを持ち、原子力に関わる様々な課題も先進的に解決する自治体として、その役割と責任を果たして参りたい」と訴えた。
このタイミングで再稼働が「必要」と打ち出した理由について、側近は東海第二の安全対策工事が来年12月に終了する見込みになっていることをあげ、「次の4年で再稼働の動きが出てくるタイミングであることは間違いない。4期目も『中立』というのは不誠実と考えたのではないか」と解説する。
村議会(定数18)では推進派のグループが最大会派で、12人を占める。22年の県議選東海村選挙区でも推進派の候補が原発反対を訴えた候補に3倍以上の得票で勝った。推進派の村議の一人は「村長選も勝てば、県議選、村議選に続いて3連勝。ほぼ住民投票に近いといえる」と話す。
これに対し、大名氏は「再稼働ありきで突っ走ろうとする村長を選ぶのか、対話を通じて子や孫たちが安心して住み続けられる東海村をつくる村長を選ぶのかが問われる選挙です」と訴えた。再稼働をめぐる山田氏の態度表明についても「施工不良や火災の頻発など原電の信頼性が疑われている中で、世論を(間違った方向に)誘導するもの。住民との冷静な対話が必要だ」と主張する。
根本氏は再稼働には賛成する立場だとしつつ、「住民投票を行った上で検討したい」と訴えた。
初めて「原子の火」がともった村、住民の思いは
村では1957年に原子力研…